奈良のこと 5

月も変わったというのにいつまで奈良の話をしてるんだと思われるでしょうが書き終えるまでは続けるぞ。

 

奈良旅2日目の最後は奈良県立万葉文化館。

存在すら知らなかったけど、たまたま通りかかった時に外を歩き回って体が冷えていたしちょっと屋内で休憩したいね、というような感じで立ち寄った。

 

f:id:wa_ta:20190303112940j:image

出迎えるせんとくん

 

結論から言ってこの施設、最高以外の何物でもなかったです。

まあ奈良はどこも最高なんだけど、3日間の中でもかなり上位の最高だった。最高の上位とは何だ。

後にここがすごい赤字を抱えた県の問題施設ということを知ったけど、私的にはあまりにも楽しくて結局閉館時間までいてしまったし、それでもまったく時間が足りなくて絶対にまた行きたいと思っているので閉鎖などされないでいてほしい。

というかこれだけ楽しい施設なんだから入館料を取るべきなのでは?

 

今回一般展示室しか見る時間がなかったんだけど、万葉集やその時代のことを紹介する展示が盛りだくさんでとにかく楽しい。

私は個人的に博物館などで当時を再現した人間大の人形があるとうれしくなってしまうので、フロアに再現された古代の市に万葉の時代の人たちがたくさんいるのも良かった。

 

歌垣、というものを今までよく知らなかったんだけど、ちょうど出かける前にゲーム「遙かなる時空の中で4」をやっていてお堅い忠義者っぽい年下キャラを攻略した後(このゲーム恋愛っぽさが薄すぎて両思いになったとか結ばれたって表現もなんか違う気がしてしまう)歌垣に誘われて、歌垣の夜は何もかも許されるのでみたいなこと言い出していきなり大胆になったので「なんだこいつ…」ってなったんだけど、この施設でも歌垣の場面の展示や解説があって、歌垣ってそういうものらしい。

遙か4のその場面、歌垣の夜なら私も気持ちを伝えてもいいのかな、という主人公に対して「秋山の樹の下隠り行く水の…」と万葉集の歌を詠みつつ告白するという…やるな…

このゲームこういうところがとてもいいと思う。

 

印象的だったものとしては大伴家持が左遷かなんかされて出発の前に宴を開いた場面を再現したコーナーがあって、実物のミニチュアのセットに実際の人間の映像を投影したようなもので、詳しい仕組みはわからないもののものすごくリアルでよくできていて、今までこういう技術のものを見たことがない気がして驚いた。

すごく不穏さを煽るストーリー展開だったのでどんな恐ろしいことになるんだろうとヒヤヒヤしながら見ていたんだけど、結局「新しき年の始めの初春の…」の歌が詠まれて特に事件もなく終わってしまった。

しかも、室内で家持たちが宴をしている間、建物の外に白い犬がウロウロしていて「あ、門を出た…と思ったらまた入って来た、あ、また出た」みたいな感じで気になってしょうがなかったんだけど、この犬に何か意味があるのかと思ったら結局ただかわいい犬だったみたいで謎すぎておかしかった。

 

万葉劇場という音や映像で万葉集の歌を紹介する舞台があって、いくつかの演目のうち柿本人麻呂の回を見た。

舞台上にリアルな柿本人麻呂人形が現れて、何してくれるんだろう!? と期待してたら手を上げ下げしつつ舞台上を出たり入ったりするだけだったり、映像や音の技術はすごいんだけど演出がどうにもダサくて(ごめんなさい)そのダサい見せ場みたいなのを「来るぞ来るぞ」と期待して待つようになったりしてこれまた楽しかった。

 

他にも万葉クイズや当時の人に質問できるコーナがあったり、虫の声や星座が見られる部屋があったり、とにかく全然見尽くせていないし書ききれない。

特別展示室や有料の日本画展示室もまったく見られなかった。

絶対にまた行きたいと思っている。

 

夕方、本当は甘樫丘かどこか小高い場所に夕日を見に行けたらいいな、という願望があったけど、ここで閉館時間まで楽しんだからまあいいか、と思っていたら思いがけず施設の前で夕日の名残を見ることができた。

 

f:id:wa_ta:20190303132632j:image

飛鳥の夕暮れ。

「飛鳥の」を頭につけると何もかもいい感じになるな、「飛鳥の夜明け」「飛鳥の風」「飛鳥の雨」…

飛鳥、すごいな。

 

つづく