広島の旅 1
昨年末に広島を旅してきた。
深い考えもなく決めた広島旅だったけどいざ予定を立てようとするとあまりにも宿泊する広島市周辺に私の興味の対象(良い感じの神社、古文、日本史(古代関係))のスポットがほぼ皆無で、正直予約したあとこんなに後悔した旅は初めてだったと思う。
いやね、いつも思うけど行ったことない場所にただ行って帰ってくるだけでも本当は十分なんだよ、それなのに貧乏人は金額相当の体験や感動を回収しようとするところがあるから…
これまでもなかなか気分が乗らないというようなことはあったけど今回はもう現地に着いて1日目の昼まで予定も決まらなければわくわくもないという絶望のスタートだった、それがまさかあれほどの楽しい旅に変わるとは、まったく何がどうなるかわかりませんね。
お昼頃広島駅に着いた。
午後からの予定すら未定だったので観光案内所で適当にパンフレットをかき集めてお昼ご飯を食べながら眺めることにした。
駅ビルをうろつくとやたら昼飲みを推奨している飲食店が多く広島最高だなと思ったけどひとりで飲食店に入れない私はすべて素通りしてカフェっぽいところでパスタを食べた。なんとファストフードではないのだ、それだけでも大成長と言えるだろう。
世間的にはまだ平日で昼休み時間だったからか隣の席には広島のサラリーマン二人組がいて、聞こえてくるところによると若い方は最近広島勤務になったようだった。
年かさの方が若者に、その業界の市場的には広島は静岡と似たレベルだと言っていた。そうなのか。
私はこれまで広島出身者に会ったこともなく広島についての知識が皆無といって良かった。訪れることになって初めて広島が日本の中でこんなに西寄りに位置しているのを知ってびっくりした。
とにかく厳島神社だけはどこかのタイミングで行こうとは思っていたので、考えるのも面倒くさいしもう今日でいいや、てな感じで午後から厳島神社へ向かうことにした。
路面電車でも行けるとのことだったけど時間がかかるようなのでJRを使った。
フェリー乗り場がある宮島口駅。
空がかなりどんよりしていて、駅を出た途端雨が降り出した。
厳島神社という存在となんとなくよく見るビジュアルは頭にあったけど、船でしか行けない島にあるというのは今回行こうと思うまで知らなかった。
私からしたら船というとかなり特殊な移動手段だけど、広島に行ってみるとその地形から地元の人にとって電車やバスとそう違わない乗り物のようだった。
フェリーをJRが運航しているというのも驚きだった。
島はもう見えているのでそこまで「海を渡って…」という感じでもなかった。
厳島はなんだか「山」という漢字みたいな姿をしている。
厳島神社の象徴的な存在の鳥居が現在工事中ということはあちこちで盛んにアナウンスされていたので承知していたけど、やはりあの例の姿を見てみたかったなあ。
これだと観光客の数にも影響するのではないかと思った。
島に上陸して、多くの人は厳島神社の方に流れていくけど私が探していたのはこの人。
平清盛。しかし写りが悪いな。
厳島神社が平家にゆかりのある神社ということで広島にも源平合戦あたりの史跡がいろいろあるのではと考えていたんだけど意外となくて驚いた。
神社に向かおうとしたところで道の横に細い階段を見つけてしまいあっさり吸い込まれた。
細い横道があったら必ず吸い込まれるし階段や坂があれば必ず上ってしまうんですそういう病気なんです。
手元の地図には「眺望良」と書かれていたけど悪天候のせいかそんなところに向かうのは私以外誰もいなかった。
小山の上には東屋と神社があって、海側の眺望はいまいちだったけど厳島神社へ向かう人がぞろぞろ歩く参道を高いところから見下ろすのはなかなか楽しかった。
旅で訪れたどんな場所もそうそう次の機会というのはないだろうけど、特に坂や階段を上ってたどり着いた先で「今ここを下りたら生きている間に二度とこの場所へは来ないだろうな」みたいなことを考えてしまって下りづらい。なぜだろう。
お土産物や食べ物屋さんは特に見なくてもよかったので一般的な参道ではなく一本となりの町屋通りを歩いた。
古い街並みが残っていて雰囲気が良かった。
そしてすぐに吸い込まれる。
高いところに上るといいことあるな。
島に厳島神社以外特に求めて来なかったのに思わぬ良さがあった。
つづく