PS4を買おうと思った話

今日私は突然PS4を買おうと思った。

しばらく「ほしいな…でもな…」とグスグズしていたものをなぜ突然買おうと思ったかというと流れがあって、今日の仕事中ふと父親の誕生日が近いことを思い出し、送らなければいけないおめでとうメールの文面に頭を悩ませていた。退職してからやることもなく体調も良くなさそうな父親に対して「何か趣味でも見つけて…」みたいな当たり障りない助言を思い浮かべた時、自分の実感としてこの難しさと虚しさを強く感じてしまったのだ。

昨年の後半あたり、私は本当に気力もなくなり何も楽しくなくなってしまって、これはちょっとまずいんじゃないかという状態になっていた。人に相談すると私はこれをやって気分転換になったよとか気が晴れたよとかみんなアドバイスをくれて、でもそれを聞いた私はへーいいかもねとは思ってもやってみようと心が動くことはなかった。

その状況がちょっと好転し出したきっかけは新しく何かをはじめたことではなく、昔からずっと好きなゲームをはじめたことだった。ソフトももう何度かクリアしたことがあるものだ。しばらくゲームをする気力もなかったけどどうしてその時やってみたのかは忘れてしまった。実際ゲームをはじめたらとてもおもしろかった。

新しい世界を知ること、未知の何かに挑戦することが人間の幸せかのように喧伝されているけど、子供の頃から好奇心が薄いタイプの人にはこれは難しいことなんじゃないかと少し思う。新しい何かを好きになったり、いろんなものを楽しいと感じることが難しい人もいて、それはもったいないよと言われても、この歳になったらわかる、人間の性質はそう直せるものではないのだ。
父親に趣味を見つけてと言葉をかけることに虚しさを感じたのはこれに気づいたからだ。父親は新しい何かを楽しめるタイプの人ではないと思う。新たな趣味を見つけられる人にしか、新たな趣味は見つけられないのだ。
それでも何か楽しいことがなくては生きていけない。鬱々として薄暗い子供時代だったけど、私には一つでも好きになれるものがあってよかったと思った。ゲームを好きでいてよかった。それがあったから、もうダメかなってところから今ちょっと持ち直して暮らせている。

もっといい趣味を見つけるべきだとか、もう大人だからいつかは離れようだとか、心のどこかで思っていたけど、生きていく支えにもなってくれるなら後ろめたく思ったりせずにしっかり好きでいようと決めた。

昔から好きなゲームを繰り返し遊ぶのも良いし、ちょっとやってみたいと思ったら新しいゲームでも遊ぼう。

だからPS4を買おうと思ったのです。