関西の旅 9
4日目のつづき。
何のあてもなくとにかく連休にどこかへ出かけなければと焦っていた時、自分がこんなに歴史的な興味で楽しめると思っていなかったので、とりあえず美しい風景でも見に行くか、と探し出して候補に挙がっていたのが滋賀県の近江八幡だった。
どんな町かは知らないけど、紹介されている写真などはどれもとても美しかった。
旅の途中で思いがけないいろんな楽しみがあったので無理に捻出したスポットを訪れる必要もなかったのだけど、せっかくだし、たまには観光地らしい観光地を見てみるのも悪くないかと思い近江八幡へ向かった。
訪れた駅の写真は撮るようにしているのだけど、帰宅して見るといつもなぜこんな撮り方しかできないのかというような写真になっている。
何駅かすら拡大しないとわからないありさま。
バス代を節約しようと歩いたけど(観光案内所の人も歩ける距離だと言っていたので)、近江八幡駅から観光のエリアまではだいぶ遠かった。
新町通り。
近江商人の町並みらしい。
予習も復習もできておらずどの時代のどういう街なのかよくわからないけど、安土城なども近いのでやはりあのあたりの時代の街なのではないか。
好きな時代に関係する場所との興味の持ち方の差になんだか申し訳なくなってくるな…
八幡堀。
美しい風景の場所を探していた時見つけたのはこのエリアだった。
水路沿いに古い建物が並び、新緑の木々、橋、石畳とすべてが絵になる。
いいカメラの人や写真が上手な人にとってはたまらないスポットだろうな。
iPhoneのカメラパシャパシャするだけの私も思わずけっこうな枚数を撮ってしまった。
旅先では夕方をどこで迎えるか、というのが自分の中でけっこう重要な問題で、この旅はここまでずっと天気が悪く翌日は帰宅の日だったので、この日が最初で最後の夕日チャンスだった。
ロープウェーも遅くまで営業しているとのことだったので山の上から夕日を眺めることも迷ったけれど、「やはり水辺だ!」と、電車の時間や日没時間を調べてギリギリ間に合いそうな、琵琶湖の夕日おすすめスポットとされる長浜に向かうことに決めた。
途中電車の遅れもあってちょっとヒリヒリした瞬間もあったけど、この判断は本当に冴えていたな。
この旅、いろんなひらめきが冴え渡っていたと思う。
(冴えてなかったひらめきは記憶から消えている)
コンビニで買ったビールを手に、長浜城には目もくれず琵琶湖の浜へ。
ギリギリ間に合った…!
長浜は日本の夕日100選に選ばれているそうで、紹介されている記事もいくつか見たけど、たくさんの人でにぎわっているようなこともなく地元の人たちがいつもの感じで散歩したり風に当たっているといった雰囲気だった。
普段あまり屋外でお酒を飲むことはないんだけど、歩き疲れた体にビールが沁みた。
もうせかせか次の予定を考える必要もなく、ここに来てはじめて気が楽になって、ビールと目の前の夕日を純粋に楽しめたかもしれない。
この時の感慨は今改めて考え出すよりも臨場感あるその場のツイートを貼っておく。
私今日死ねば人との縁は薄かったもののけっこう楽しい人生だったと思えると思うわ… pic.twitter.com/QavO3f0EEU
— 綿 (@wata_n_n) May 2, 2019
人との縁は薄かったけど、きれいなものも好きなものも愛おしいものもたくさんあったよ
— 綿 (@wata_n_n) May 2, 2019
わすれないでね
— 綿 (@wata_n_n) May 2, 2019
自分の中では最後の「わすれないでね」が一番ぐっとくる。
こんな美にしい瞬間を、どうしたって日常の中で忘れて行ってしまうこと、その場でもわかっていたんだよね。
だから「わすれないでね」とツイートしたんだよね。
忘れがちなことといえば、夕日は沈んでからの美しい時間がかなり長い。
いつまでもその場を去ることができなかった。
この日の宿は彦根だった。
琵琶湖の東側でとれた唯一の宿で、料金もかなり安かったのでまあ寝れればいいや…くらいの気持ちで行ったところ今まで泊まったビジホの中で一番広いくらいのびっくりするほど快適な部屋だった。
今回の4泊どこもギリギリでなんとかとれた宿だったのに全部悪くなかったな。
本当に良い旅だった。
次が最終日。
つづく。