秋の奈良旅 1
暑くもなく寒くもなく、紅葉にもまだ早い中途半端な秋の日、昨年末から数えて4度目の奈良を訪れた。
この時期を選んだことに特に意味はなく、2月に一緒に奈良に行った妹と秋頃絶対もう一度奈良へ行こうという話になっていたもののグダグダしているうちに気づけば今年の三連休も残りわずかになっており、なんとか予約が取れたのがこの三連休だった。
「奈良に行きたい」という強い気持ちはあれども脳が死んでいる姉妹はいつまでたっても具体的な計画が立てられず、結局無駄だらけの行き当たりばったり旅になってしまった。
負け惜しみのようになってしまうけど、私は無駄が好きだからこれでいいんだよ。
1日目。
奈良に着いた段階でもまだ予定が固まっておらず。
とりあえず事前にネットで見かけて気になっていた春日大社国宝殿の展示を見に行くことにした。
いやそりゃあ正倉院展が見たかったけどさ、奈良国立博物館の前を通るととんでもない行列ができていて、ただでさえ時間のない旅行の最中さすがに行列で時間を費やす決断はできなかった…
春日大社への道中は今回も鹿で盛り上がった。
いちいち立ち止まって写真を撮るのでなかなか先に進めず大変だった。
眠い鹿とか
鹿の幼稚園みたいなのとか
わかってる鹿とか
普通にかわいい鹿とか
私動物は苦手なんだけどねえ、奈良の鹿は何回見てもかわいくて不思議だねえ。
そういえば「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき」など鳴く鹿を詠んだ秋の和歌が多いので鹿の鳴き声を聞くのも楽しみのひとつだったんだけど、実際鳴き声自体そこまで風情のあるもんでもなかったような…
木々も紅葉していないし何より体感的に全然寒くないのもあって和歌に詠まれたような寂寥感みたいなものは感じられなかったな。
まずは本殿にお参り。
鹿のおみくじがあまりにもかわいくて思わず財布の紐も緩む。
おみくじの内容は小吉だかなんだったか、鹿のかわいさですべて忘れてしまった。
春日大社国宝殿では「神獣 かわいい、神の使いたち」という特別展を開催していた。
近年めっきり脳が死んでいるので「かわいい」とかそういうわかりやすいものしか消化ができない。
どの展示物も疲れた脳にやさしいゆるかわ、または美しいものばかりで大変良かった。
それでもあまり仰々しくない他愛ない展示物ばかりに見えて実は国宝だったり重文だったり、ああ、ここはやはり奈良なんだな、としみじみとした感動があった。
それと国宝殿の1階がアーティスティック空間すぎて「え? これは何?どういうことなの?」とか言いすぎたことを今更ながら反省している。無粋であった。
つづきます。