関西の旅 6
3日目。
この日は友人の案内で明石観光。
いつもの無計画一人旅はそれはそれで楽しいけど、時々行先や手段を考えることに本当に嫌気がさすことがあって、人にどこかに連れて行ってもらえるこの日はとても楽しみだった。
新しい時代の初日、日の出を拝むのはさすがに無理でも、友人との待ち合わせが時間がわりとゆったりしていたので新しい時代の最初の海(?)に寄ってから向かうことにした。
海が近づく気配、好きだ。
前日の夜電車に乗って来た時は山側を向いて座っていたので海を見ていなかったし、関西の地理がよくわかっていないのですぐそこに見えた大きな島に驚いてしまった。
もしや、あれは淡路島なんだろうかと思ったものの確信は持てず、というのも私はなぜか淡路島を伊豆大島くらいの距離感で想像していたみたいで、突然予想外の存在感の島が目の前に現れたことにしばらく戸惑っていた。
よく考えれば橋で渡れる島がそんなに遠いわけがないのだけれど…
この日は天気が悪く、島には低く雲がかかっていて、時間とともに少しずつ雲が晴れて行き、島の木々や風車が次第に現れるようすがなんだか神話の光景みたいだなと思った。
そういえば神話では日本で最初にできたのが淡路島なんでしたっけ…?
もくもくの雲に「八雲立つ」という枕詞を思い浮かべながら歩いていたら、そばに八雲神社という神社があった。
離れがたい光景だったけど待ち合わせ時間が近づいたので明石に移動した。
明石駅。
暗雲が立ち込めている…この日の(私の体調の)先行きを示すかのように…
明石城。
お城にも戦国時代にも疎いけど石垣の迫力には驚いた。
後日テレビで明石城が取り上げられているのを見て、なかなか人気のお城らしいのもうなずける。
お城を警備してるみたいな猫がとてもかわいかった。
きりっと見回りしていた。
実を言うとこの日は明石焼きを食べるというのが一番の目的だったのだ。
人気店に連れて行ってもらい、さすがに2時間並ぶのは予想外だったけど、自分の人生で食べ物に2時間並ぶというのも最初で最後のような気がするし、そんな人気店で明石焼きを食べることももうないだろうと思った。
人生初の明石焼き、めちゃくちゃおいしかった...あ、今思い出しても口がおいしい…
この日は寒い日で、雨も降り出し、荷物を隣の駅のロッカーに預けていた私は薄着のまま2時間屋外に立っていたことがあだとなり、ここから腹痛との戦いが始まる…
レンタサイクルで海や天文台の方を回る予定だったけどそこは友人二人に行ってもらい、私はひとりショッピングセンターで長袖のインナー探しと腹痛の回復につとめることに。悲しいね…
何とか購入した長袖Tシャツを中に着込み腹痛もおさまってきたところで、友人たちと合流はできないまでも少し町の中を歩くことにした。
結局一人旅か。
明石といえば子午線というイメージがあったので、天文台までは無理でも子午線通過地の碑だけでも見に行った。
子午線とか標準時のことを詳しくは知らないけどここでは時計の時刻と実際の時刻がぴったり合ってるってこと? なのかな?
だから何だと言われるとあれなんだけどなんかこういうところにおおーと盛り上がってしまう。
だって、東京なんかけっこうズレがあるんじゃないのかな。どうなんだろう。
そういえば「子午線」という名称の意味をこれまで調べもせずに生きてきたけどこの日はじめて調べてみたところ方角を表す干支の子と午で驚いた。
こういう科学的というか国際的なジャンルでも日本古来のネーミングが当たり前に浸透しているのはおもしろいなあ。
近くにあった忠度塚。
忠度は俊成に和歌を託したエピソードしか知らなかったけどこのあたりで討たれたらしい。
そういえば某ゲームで忠度と戦う展開あったけどあれはこのあたりだったのかな。
明石観光はここまでで、駅で友人たちと合流し、夜の神戸へ。
ポートタワーのあたりは以前行ったことがあったけど、今回は三宮と北野のあたりを歩いた。
神戸のエリアの呼び方がよくわからないんだけど、このあたりのことを神戸と言うと友人に「三宮ね」と訂正されたので神戸市全域を神戸と呼ぶのではないのかもしれない。
初めてだけど私にとっては某ゲームでおなじみだった異人館街。
もう夕方遅かったので異人館には入れなかった。
共通点の多い横浜を思い出すけど、横浜と違って神戸の異人館をめぐるにはだいぶお金がかかりそうだな…
友人と合流したばかりだというのに、おしゃれな洋菓子店に向かう友人たちと別れてひとり異人館街に残り坂道をがむしゃらに登った。
坂も坂の街も好きで今までたくさん歩いたけど、ここまで勾配のきつい街はちょっと記憶にない。
観光客として訪れるにはステキな街だけど、車が入れないような道も多く、地元の人はどうやって暮らしているんだろう。
観光地を外れ、もはやハイキングコースみたいなルートの先に見晴し台の案内があって行ってみた。
こういうところ、絶対進みたくなっちゃうから人との旅が難しくなっちゃうんだよね。
見晴し台にたどり着くと港の方まで見渡せた。
あかりが灯り始めてきれいだった。
また友人たちと合流し、おしゃれな喫茶店でお紅茶をいただき、友人たちと別れて私は西明石の宿に戻りこの日は終了。
別れたり合流したり、こんな自由を許してくれる友人はありがたいね。
おかげで体調は悪かったけど楽しい一日として終えることができました。
つづく