旅の話

旅の記憶が1日ごとに遠ざかっていて、すっかり消えてしまう前になんとか残さなければという気持ちで今思い出せることをとりとめもなく書きます。

 

無計画な旅だった。

今回ほど無計画な旅はない、といつも思っているんだけど無計画レベルは毎回更新されていく。

直前まで何も決められず、しばらく前からツイッターにどこへ行ったらいいかわからないと苦しみのツイートをしていた。

何も決めず気が向いた場所にふらっと訪れる旅も憧れる、が、小心者のひとり旅、あまり無謀なことはできないので事前に宿だけは確保しておきたい、お盆時期なので早く宿を決めないと旅行自体できなくなるかもしれない、その焦りの苦しみだった。

2泊3日にするか3泊4日にするかもずっと悩んでいて、今まで3泊はしたことがなかったので体力に自信がなかった。結局3泊目は旅の途中で決めたけど、お盆時期じゃなくて場所にそこまでこだわりがなければこういうことができるんだよな、ほんとはそんな旅がいいな。

 

出発の日、今回の旅の一番の動機が「長い夏休みに実家に帰りたくない」という後ろ向きなものだったためにまったくやる気が出なかった。体調も悪く、元気が0%だった。

18きっぷの旅なので、朝早く出て目的地まで何度か途中下車するのがいいだろうなとわかってはいたけれど、どうしても朝家を出る支度ができず、もうこの日は移動の日と割り切ろうと決めた。

この日の天気がどうだったか、車窓から何が見えたか、一切記憶がないので本当に電車移動を楽しんでいなかったらしい。

 

しばらく前からスマホのバッテリーとモバイルバッテリーの両方が危機的状況になっていて、移動中なるべくスマホを見ないように…というのはやはり無理で、半日程度で厳しくなってしまった。

昔は長距離移動する際は必ず本を持ち歩いていたけど、文字が読めなくなって久しいので今は持ち歩かないし、買ったところでどうせまた読めないんだろうけど、と冷めた気持ちで思いながら、どこかで書店に寄ろうと決めた。

 

ちょうどお昼時、大きい駅なので静岡で一度電車を降りた。

なぜ駅の外に出たのだったか忘れてしまったけど、ふと見上げたら空の隙間に虹が出ていた。

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元気0%だというのに、虹を見つけた途端にもっとよく見える場所はないかな、とふらふらと街の方へ歩き出していた。

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少しひらけた場所で見ると虹と思ったそれは虹ではなく、雲が光っていたのだった。

彩雲は吉兆とどこかで見た覚えがある。この時点でその気配はなかったけど、きっといい旅になるだろうと思った。

 

静岡駅の駅ビルで書店を見つけて入ったはいいものの、読みたい本があったわけではないので何も決められずさまよい歩いてしまった。何本か乗る電車を遅らせてなんとか手に取ったのが恩田陸の「木漏れ日に泳ぐ魚」だった。なぜこの本に決めたのかよく覚えていない、木漏れ日という言葉が好きだからだろうか。そして結果的にこの本を手に取ったのは良い選択だった。

それと知らない街の駅ビルってなんか好きだ。よく行くお店が入ってて、似ているようで全然知らない場所。

 

車窓を楽しむこともなく、途中下車もなく宿泊する米原までやってきた。

本気で西を目指そうとすれば1日でまだまだ行けるけど、心配性なのでどうしても帰りたくなってしまっても新幹線でまだ帰れる、とかそういう可能性を考えた気持ち的に一番西が滋賀県で、滋賀県にばかり宿泊している。

着いたのは夕方でまだ明るく、ずっと電車に乗っていたので少し歩きたい気持ちもあり、琵琶湖を見に行くことにした。地図を見たら駅から少し距離はあるようだけど、まあなんとかなるだろう。

水田に囲まれた道、地元の人もほとんど見かけることはなく、心細くなり何度か引き返そうか葛藤しながら進んでたどり着いた琵琶湖。

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ちょうど正面に夕日が沈もうとしていた。

浜には私以外誰ひとりいなかった。地元の人にはありふれた日常の光景なのかな。

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夕日の鮮やかな色も、北と南の淡い空や山影も全部美しく、暗くなる前に戻りたかったのに立ち去り難くて結局日が沈むところまで見続けてしまった。

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帰り道は街灯もほとんどなく心細かったけれど、ところどころに飛び出し坊やがいて良かった。以前タモリ倶楽部で見て、ちょっと琵琶湖周辺の飛び出し坊やを見るのを楽しみにしていたところがある。

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1日目はこれで終わり。