伊豆の旅 8
旅の記録の続き。
旅の最後は伊豆急で伊東方面に向かいながら、最後の途中下車駅を決めることにした。
たまたまこの時乗ったのがゆったり快適な座席の車両で、しかも熱海までの直通とのことでこのまま帰ったら楽だろうな…と心が揺れてしまった。
今回下田まで行ったのにペリー関係完全スルーしてしまったんだけど最後に黒船電車乗ったから…
降りる駅をグズグズと決めかねて、前日乗り降りした城ヶ崎海岸や富戸まで行ってしまいそうだったので、なんとかその手前で熱川を最後の途中下車駅に決めた。
あのバナナワニ園の熱川。もちろん私はバナナワニ園へは行かない。
今回全然まともに駅の写真撮れてないな。
駅前には足湯があって、湯気がもくもくだった。
私の目的はとにかく海。温泉街を抜けて海岸に出た。
先ほどの海ともまた全然違う。
よく晴れていて、これまでで一番島がくっきり見えた。
駅前や温泉街はまあまあ賑わっていたのだけど、海辺には誰もいなかった。
グーグルマップには海沿いの道が描かれていたので、私はここを歩いてみたいと思って来た。駐車場や廃旅館のような場所の先にあるこの道、本当に全く誰ひとりいなかった。
風と波が轟々と鳴る中、ひとりこの道を歩いている時、この旅の中で一番心細くて恐怖を感じていた。
これだけの場所に自分がひとりだけということも、ひとりだけじゃないかもしれないということも怖かった。
もしここでよからぬ何者かと遭遇してぽいっと海に放り投げられたりしたら、私は誰にも気づかれず見つかることもないまま消えるのだろうな、などと考えた。
それならさっさと引き返せばいいものを、ここまで進んだからにはこの道の一番先が見たいという気持ちも捨てきれなかった。
ガードレールもなくなってしまった。
振り返ると誰もいない道がゾッとするほど長く続いて、遠くに小さく街が見えた。
恐怖心を押さえられたのはここまでだった。この道の先に惹かれる気持ちも確かにあったけど、心を奮い立たせることがもうできなくなってしまった。
私は引き返すことを決めた。
ところで何気なく撮ったこの写真、今回の旅の中でかなり気に入っている。(自分の影は余計だけど)
私の好きな「最果て感」が出ていると思う。ブログのアイコンにも使っている。
街からも少しだけ離れていて時々散歩の人がひとりふたり通りかかるくらいの場所が、じっくり海を眺めるのに精神的に最適だった。
寄せる波、砕ける波のおもしろさ。
繰り返す動きをいつまで見ても飽きない。
水しぶきに虹が出るのも美しい。
私はひとりが好きだけど、安心してひとりでいられる場所が一番いいんだなとわかった。
2日間で本当にたくさんの水辺を見た。
全部全く違ってて全部が最高だった。
やっと記録し終わったから、これでまた次の旅に出られる。